旅行通の人気スポットのひとつに北欧のオーロラ見学がブームになっているようですが、しばしば「喉のしもやけ」を起こす人がいます。零下何十度という冷たい冬の冷気を吸ったために、喉がやられ、そこにしもやけができてひりひりするのです。もちろん冷気から喉を守るためにマスクをしているのですが、それでも喉をやられてしまうわけです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
口呼吸をしていると、喉をやられてしまうのです。鼻の役割のひとつに空気の温度調節をする、エアーコンディショナーの役割があります。
鼻の15センチの気道を通過する時、空気は温度調節されるばかりではありません。同時に湿度100%の状態になるまで加湿されるのです。乾燥した空気は喉の細胞を傷めます。また、空気中に漂っているバイ菌は乾燥した環境を好むものが多く、湿度を与えることで、バイ菌の侵入や繁殖を防ぐ効果もあります。
口の奥には扁桃腺がありますが、この扁桃腺は口の奥ばかりではなく、鼻や耳の奥、舌の付け根などにも存在し、喉の扁桃腺と繋がって、空気の入る道をぐるりと取り囲むようになっています。そこで、これを総称して、扁桃リンパ輪(ワルダイエル・リング)と呼んでいます。
この扁桃リンパ輪には、白血球を製造する工場としての働きがあります。バイ菌や異物が体内に入ってくると、この扁桃リンパ輪がそれらを取り込み、白血球によって有毒なものを消化し、体内を感染から守ります。
鼻から入ってきた空気は、この扁桃リンパ輪という最終関門をくぐりぬけることで、ほぼ100%清浄になるのですが、鼻や喉の奥にある扁桃腺と口の奥や舌にある扁桃腺とでは退治する菌の役割分担が異なるのです
口呼吸が当たり前になってしまった人は、口には鼻のような複雑な空気浄化装置はありませんから、汚れた空気がフリーパスが入ってきます。こうして入ってきた汚い空気でダメージを受けるのは、他ならぬ扁桃腺です。口呼吸をしていると喉の扁桃腺が乾燥してしまいます。扁桃腺が乾けばその機能も弱るしバイ菌が入りこみやすくなります そればかりか、空気中のバイ菌は乾燥した状態を好むため、乾いた扁桃腺の表面はバイ菌から身を守るどころか、バイ菌の温床になることさえあるのです。さらに口呼吸を続けていると鼻の空気の通過がどんどん減り、口ばかりか鼻の扁桃腺までが、働かなくなってしまうのです。
かくして、口呼吸を続けていると、口の中の扁桃腺も鼻の中の扁桃腺も徐々にに弱って、免疫機能が落ちていくわけです。
免疫病といわれるものの多くも、実は口呼吸が原因で起こるものなのです
東大医学部医学博士 西原克成
「赤ちゃんはいつ人間になるのか」より
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